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agrizm No.28 遠坂きのこ農園さん

朝来市で国産きくらげを栽培している遠坂きのこ農園の木下さんご夫婦。標高370mの澄んだ空気と天然水が湧く場所で農薬を使わず丁寧に育てている。

きくらげは、栄養価が高くビタミンDや食物繊維なども豊富で、近年では、美容と健康に良い食材としてメディアなどでも紹介されている。しかし、日本で栽培されている国産きくらげは5%程度と、国内流通は極めて少ない。スーパーなどで売られているのは殆どが外国産。それだけに無農薬の国産きくらげが食べられるのは嬉しい。

幸一さんは元鉄道の運転手。のどかな田園風景が広がる景色の中、毎日電車を走らせていた。そんな風景の中、飛び込んできたのが農薬散布。『毎日食べている米や野菜の中に、どのくらいの農薬が使われているのか?子ども達が口にしても平気なのか。健康被害はないのだろうか?』と疑問を抱くようになり、安心して食べられる食材を自分で作ろうと転職を決意した。きくらげを栽培する上で大変なのが、ハウス内の温度・湿度管理の徹底。竹田城とほぼ同じ標高にあるため、冬は冷え込む。また、雑菌が入らないよう衛生面にも気を配らなければならない。過去には、朝食に納豆を食べた事で、きくらげが全滅してしまったこともあった。 それでも、もう一度一から栽培して順調に育ち、会社も軌道に乗り始めた頃、幸一さんが脳梗塞で倒れてしまったという。退院後、リハビリを重ね復帰。「大変だったけど、お客さんから美味しかったという声を聞くと嬉しい。諦めることなく栽培を続けてよかった。」と、ご夫婦が笑顔で話してくれた。遠坂きのこ農園さんの商品は、福知山・綾部・舞鶴の三ツ丸ストアと業務スーパーで販売しているほか、直接、農園に行って購入する事もできる。

agrizm No.27 ARISA GARDEN 京都さん

舞鶴市で万願寺とうがらしを栽培しているARISA GARDEN京都の奥野亜里沙さん。自然に囲まれ、蛍が翔び交う山水が流れる場所に畑はある。この美しくキレイな水でじっくりと栽培された万願寺とうがらしは肉厚で甘い。新規就農して3年目となる今年から、露地栽培と並行してハウス栽培も始めた。ハウスを立てる資金の一部をクラウドファンディングで160人もの支援を集めた。実家がお茶農家ということもあり、リターンには自身が作った万願寺とうがらしと家族で育てた日本茶を届ける予定だ。
「舞鶴発祥の地と言われる万願寺とうがらしを知らない人は全国にたくさんいる。私が育てた万願寺とうがらしを食べてもらいたい。そのためには、まず知ってもらうことも大事だから、支援してくださった方々にも届けたい」という亜里沙さん。農作業以外にも出荷、経理、広報なども一人で行なっている。また、月に一度、京都FM丹波「Newstyle農家さんに聞いてみた」のパーソナリティーも務めている。
昔から大好きだったという万願寺とうがらし、「日本一食べてるんじゃないかなと思う。それくらい大好き!」と話す。理想の肉厚、色艶、味にするため試行錯誤。安全に美味しく食べてもらうため、厳しい農薬使用基準を守り栽培している。直売で届く万願寺は開けた時に感動するような太く大きなものを選び丁寧に箱詰めする。元自衛隊の経歴を持つ亜里沙さんは、力仕事の多い農作業も難なくこなすが、「唯一苦手なのが虫で…何度、悲鳴をあげたことか…」という可愛らしい一面も。大変な事もあるが、農家としてやって行く手応えを感じる日々。「全国のお蕎麦屋さん、おうどん屋さんで自分が育てた万願寺とうがらしの天ぷらが食べられるようにしたい」と夢を語ってくれた。

agrizm No.36 凸凹ファームさん

丹波市市島町で農薬・化学肥料不使用、年間30品目の野菜を栽培している凸凹ファームの奥川さんご夫婦。新規就農して2年目を迎える。

三重県出身で、IT関係の仕事をしていたご主人と事務職をしていた奥様。農業とは別世界にいた二人が忙しい毎日の中でふと、今後の事を考えるようになった。本格的に農業の勉強をしたいと思うようになった頃、導かれるかのようにこの場所に来たという。「都会にいた時よりも、ここにきてからの方が知り合いが増えた。農業のことで相談したら良い人を紹介してくれて、またそこから広がって。みんな温かい方たちばかりで」と、人の繋がりの深さに感謝している。

新規就農して順調とはいかず失敗も経験した。毎日欠かさず閉めていた電気柵を一晩閉め忘れただけでサツマイモ畑が獣に荒され全滅したり、ジャガイモが思うように育たなかったり。でもそんなことでは落ち込まないのが奥様。「失敗があるから前に進める。成長のためには必要だから」と、笑いながら話してくれた。今年栽培中のジャガイモとニンニクを見せてもらうと、茎もしっかりと太く伸び、収穫目前にまで育っていた。良い土壌にするため緑肥にも力を入れているという。また、必要以上に雑草を刈り込まない。「こだわりはコレ!って言えるほど農家になって年数も経っていないので、まだいろんな事を試している段階」というご主人。しかし、畑に育っている野菜は、どれも愛情たっぷりに栽培されているのがよくわかる。化学肥料を使えば野菜は早く大きく育つが虫が付く、そのために農薬が必要になってくるが、使わない。その時点でもう『こだわり』なのではないだろうか。

消費者が安心して食べられる美味しい野菜を届けるため日々奮闘している。

agrizm No.25 おちゃのこ菜菜さん

生まれ育った地元、福知山でこの春新規就農したおちゃのこ菜菜の千々岩千夏さん。ご主人の地元に嫁ぎ10年たった頃、野菜嫌いだった子ども達にたくさん食べて欲しいという思いがきっかけとなり、緑豊かなこの福知山で本格的に農業をしたいと考えるようになった。
先ずは土壌作り。米ぬか・魚粉・油かすなどを使い、毎日混ぜ続け、2トンもの発酵肥料を作った。更に東京ドーム3個分の籾殻を畑に混ぜる作業を行い、フカフカで発酵パワーを活かした土壌に仕上げた。
農業を始めた頃は何度も泥濘に軽トラックがはまり苦戦した。「その度に周りの農家さんに引き上げてもらって助かった。困っていたら声をかけてくれるし、私が倒れてないか気にして見てくれているんです。」と笑顔で話す千夏さん。温かい人達や幅広い世代の方と繋がれる事も農業の魅力なのかもしれない。
新鮮な地元野菜に親しみを持って欲しいと、定期的に保育園の子ども達に農業体験を行っている。また、こだわりの土づくりでエコファーマー認定を受け、今年度からは学校給食にもおちゃのこ菜菜の野菜が使われることとなった。
加工品にも力を入れてきた。作るきっかけとなったのが、ご主人の故郷、福岡に帰省する時、福知山のお土産でいつも悩んでいたという千夏さん。「だったら自分で福知山土産を作ればいいじゃない」と行動に。試作を重ね、出来上がったのが『万願寺ディップ』。万願寺みその旨さとコクを残し、ごま油が入る事で、何にでも合う万能調味料に仕上がった。
「今後はもっと多くの人が、おちゃのこ菜菜の野菜が食べたいと言ってもらえるように、私が作った野菜を食べてこの味を知ってもらいたい。」と、地域とのつながりを大切に活動している。

agrizm No.24  和草 nikogusaさん

 

大阪から三和町に移住した和草(nikogusa)の芦田泰子さんは、2年間の研修を経て、この春から独立し、新規就農した。4〜5年程前から本格的に田舎暮らしを思い描いていたが、まずはどこに移住するかという事だった。ご主人が京都出身だった事で、京都の田舎へ住みたいと探していた。そんな時、三和町にある丹波の里ひぐち農園さんで働きながら農業の勉強ができる事を知り移住を決意。その後、自分の理想とする古民家に出会った。

過去には、田舎に住みたい夢を実現させるべく下準備のため、農業関係の仕事もしてきた。料理が好きだった事も移住のきっかけだったという。

昔から味噌作りをしてきた泰子さんは、大豆から育ててみたいと思うようになった。「味噌を仕込むの難しそうって言われるけど簡単ですよ!」と、丁寧な暮らしを楽しんでいる。それでも、育てたい作物が思うように育たなかった時や全滅して落ち込んでしまう時もあった。「完璧じゃないと気が済まない性格で、黙々と作業していると悩んでしまう。自然が相手だと、毎年同じように育つとは限らない。今年失敗すると、同じ作物を育てるのに来シーズンまで待たないといけない事もある。」と『農業』によって精神面でも鍛えられているという泰子さん。知り合いのいない場所に移住してきた泰子さんにとって、何でも相談でき、心強いゆらジェンヌのメンバーと共にイベントにもどんどん参加している。

「マルシェに出ると、その間農作業はできないけど、お客さんの顔が見られるのは嬉しい。料理が好きだから、オススメの野菜や私が美味しいと思う食べ方を直接会話できるマルシェが大好き」と話す目はキラキラと輝いていた。

agrizm No.23 坪井農園さん

朝来市山東町で甘く大粒のイチゴとトマトを栽培している坪井農園さん。最初の5年ほどは青ネギの栽培をし、需要もあったことから農園の経営は順調だった。しかし、「もっと面白い(手をかければかけるほど違いがわかる)ものを育てたい」と思うようになり、トマト栽培に切り替えたという。
「マニアックな話になるけど微生物が・・・」と笑顔で話し始めた坪井さん。それは土にこだわり、化学肥料は使わず微生物と共生することで豊かな土壌作りに取り組んでいるということだった。大阪府堺市で美味しいトマトを栽培し、フランスにも出荷しているトマト農家さんに弟子入りし技術を教わった。手をかければかけるだけ味も質もどんどん変化し、やり甲斐も感じられたという。
トマト栽培のピークは6〜7月・12月〜1月と期間が開いてしまう。そこで冬場から5月下旬まで収穫可能なイチゴの栽培もスタートさせた。品種は、酸味がなく甘い『章姫』と上品な香りとジューシーな果肉が特徴の『かおり野』。ただ、普通のイチゴでは納得いかないのが坪井さん。大きさ・味・質の全てを兼ね備えた最高の一粒に仕上げるため、土壌や温度管理の徹底、さらに摘果作業で半分ほどに減らしている。そうすることで出荷数は減るが、ブランド力が付き、今では坪井農園さんのイチゴを目当てに購入する方が多い。朝来市ふるさと納税の返礼品にもなっており、全国へ届けている。また、朝来市の道の駅まほろばでも販売中。
今年からは新たにシャインマスカットの栽培も開始したという。坪井さんの探究心と確かな技術で育てられる収穫シーズンが楽しみだ。

agrizm No.22 橋本有機農園さん

 

丹波市市島町で年間50種類の野菜と養鶏場の経営をご夫婦でしている橋本有機農園さん。野菜は有機JAS認定を取得している。「安心野菜や農薬不使用と書いてあっても消費者にはどれが本当に安全なのかわかりにくい。基準は厳しいが認定を取得する事で安心して食べてもらえる。」という。確かに農薬不使用野菜と記載されていても、栽培中だけ薬をかけず、その前後で撒布している場合もあり、土の中に農薬が残留している可能性があるからだ。
橋本さんの田んぼでは合鴨農法で虫や雑草を食べてもらい、畑では、平飼いの鶏糞に地元の米ぬかなどで自家製のボカシ肥料を作り混ぜている。鶏舎に案内してもらい足を踏み入れると、嫌な臭いは全くなく、地面はフカフカ。手で触ってみたが糞の臭いではなく、乾燥した草のようないい香りだ。鶏が自由に動き回り、土の中では微生物などによって分解され肥料ができる。もちろん餌にもこだわり、遺伝子組み換えでないトウモロコシや畑の雑草・野菜などを与えている。
農園では、米や野菜などの収穫後に出る藁やクズが餌となり、またその糞から堆肥を作り農産物が育つという資源を無駄にしない、環境にも優しい循環型農業をしている橋本さん。こうして丁寧に作られた野菜や平飼い卵にはファンも多い。地元の有機農業のメンバーと有機野菜セットの販売をして、消費者に安心して食べられる美味しい農産物を届けているのだ。また、橋本有機農園さんは、WWOF(ウーフ:有機農場で手伝いながら知識を得られる)に登録し、年間約15カ国45名程の外国人を受け入れている。海外だけでなく国内からも有機農業に憧れ、橋本さんの元へ農業体験に来る人たちもいる。
農業が一つの職業として成り立つようにと技術や知識を伝える活動を行い支援している。

agrizm No.21 さくかぜ畑さん

福知山市三和町で農薬不使用・自然栽培にこだわり、カラフルなイタリア野菜を中心に栽培をしているさくかぜ畑の川勝さん。昔は野菜が苦手だったが農業を始めるきっかけとなったのは「野菜作りしてみたら?」という母の一言だった。そこから農業の道へ進み、2年前にここ三和町で農地を借り本格的にスタート。1.2ヘクタールの農園を一人で管理している。ハウスが2棟、その隣に設置された広大な柵の中には3頭のヤギが暮らしている。名前は3頭ともユキちゃん。この子達のおかげで柵の中は草刈りしたかのように草がなく、何ともエコな除草隊だ。たまに脱走するらしく「ハウスを閉め忘れて葉物野菜が消えてた事があった」と、笑いながら話してくれた。

「まだ手をつけられていない場所だらけで、大変な事も多いけどやりたいことがたくさんあって。」という川勝さんは本当に楽しそうだ。そんな、川勝さんのもう一つの顔はバンドマン。先日は、イネノソラさんでライブを行なったという。古民家をリノベーションしたアットホームなご飯屋さんで、地元食材を使用した体に優しいランチがいただけると人気のお店だ。農家さん同士の交流もあり、ねずみのすもうさん(R3年3月号掲載)には農業の事を相談する仲だ。また、川勝さんが所属している『のら×たんゆらジェンヌ』では、情報交換や勉強会など定期的に集まっている。「農業の世界に入って知らない事が多い中で、メンバー達がいつも私を引っ張ってくれて、本当にありがたい」と。「カラフルな野菜を学校給食に出せたら、苦手な子ども達にも興味を持ってもらえる」と、自身が苦手だった過去があるからこその思いもあり、力を入れていきたいと語ってくれた。

さくかぜ畑さんの野菜で給食時間に彩りを与えてくれる日が楽しみだ。