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agrizm No.11 農園ねずみのすもうさん

農園ねずみのすもうさんは、ご夫婦で水菜の周年栽培や伏見とうがらし、ロシア料理で有名なボルシチに使われるビーツなどを栽培している。京都市内から伊根町に家族で移住し、新規就農して今年で13年目を迎える。農業を始めるきっかけは、子どものアレルギーを治したいとの思いからだそうだ。

土壌に合った水菜を周年栽培する事で収入の軸をしっかり持ち、虫のつきやすい夏場でも低農薬に抑え有機肥料のみを使用し、体に優しい新鮮な野菜を栽培している。「農園ねずみのすもう」の由来は、昔話でも有名な絵本の題名から。"貧しくても優しい心を持って人に親切にすれば、いつかきっと幸せがやってくる"そのストーリーが大好きな奥様が決めた。また、ご夫婦は同級生で同じねずみ年だった事もあり、この名前に深い縁を感じたという。

数年前から6次化にも取り組み、スーパーにはあまり出回っていない栄養価が高く女性に人気の野菜『ビーツ』を加工し、ドレッシングや水煮缶にして販売。その手軽さからリピーターも増え、お取り寄せする方も多い。

今年からは、農園で収穫した野菜や地元食材を使った料理が食べられる『農家民宿』を始める準備も進めている。自然の中で焚き火が楽しめたり、海まで数分というのも魅力的だ。

「農業は黙々とする作業が多いけれど、いろんな方との繋がりを大切に、心豊かに生活する事を意識して、楽しく農業を続けたい」と話してくれた。

agrizm No.10 THE 610 BASEさん

電気設備の事業をしている井上株式会社が、廃校となった旧中六人部小学校を今年一月から福知山市より借り受け、農業施設として運営を始めたTHE 610 BASE(ムトベース)。

農業経験について「電気の事に関してはプロですが、農業の事は全くの初心者です。記憶にあるのは小学生の時にアサガオを育てたぐらい。」という森さん。聞くとスタッフの方々はみなさん農業初心者。「地元には農業のプロが多くいらっしゃるので、分からない事は何でも聞く。」と、地域の方々に協力してもらいながら学んでいるという。

オフィスとして使われているのは元職員室だった場所で、机やイスも子どもたちが使っていたもの。できる所はスタッフの手でリノベーションしたという内装は、学校ならではのレトロな雰囲気とマッチしてワクワクする不思議な空間に仕上がっている。校庭にあるハウスの中には苺の苗が並び、紅ほっぺ・かおり野・章姫・よつぼし(販売のみ)の4種類が育つ。奥にある環境モニタリング装置で井戸から自動で給水され、ハウスの温度調節もこの機械によって全て自動化されている。温度や湿度、光量などをリアルタイムで測定する『IOT農業』を取り入れる事で、苺にとって最適な環境を整えている。

小学校が廃校となり一度は誰もいなくなってしまった場所だが、今ではイベントが開催されるとオープン前から長蛇の列ができる程に賑わう。住民の想い出の場所である学校が、もう一度賑わいを取り戻し、農業を通じて地域力の創生に寄与している。

agrizm No.9 ともときファーム丹波さん

ともときファームの「ともとき」は共に時を過ごす仲間という意味が込められ、生きる上で必要不可欠な食をテーマに健康で健全な社会づくりを目指し、化学肥料や動物性肥料を使わないオーガニック農業で作物を育てている。その中の一つで太陽の熱と微生物の発酵熱を利用した「太陽熱養生処理」は、土壌が高温になる事により病気・害虫・雑草を抑制する効果があり、土もフカフカで野菜の根の張りも良くなるのだという。

定期的に農業体験を開催し、週末になると大阪や名古屋など各地から子ども連れの家族が集まり農業を楽しむ人達で賑わう。土に触れ、とれたての野菜にかぶりつく。都会から離れ、普段の生活とは全く違う自然の中で過ごす贅沢な時間だ。勿論、化学肥料や農薬不使用のため育つ作物の形も様々だが色は濃く、味わい深い野菜が育つ。

立松さんは、オーガニック栄養士としても活躍し、幼稚園などへ食育セミナーに出向き『見て・触って・食べる』五感で感じられる工夫をし、幅広い年代に食の大切さを伝える活動を行なっている。ビタミン・ミネラル豊富なケールをパウダー状に加工した商品も販売し、料理に使いやすいとリピーターも多く、体質改善に良いと定期購入する人も増えているようだ。「消費者にもっとオーガニック農業を知ってもらって、選択肢の一つとして手にしてもらえたら嬉しい。」と話す立松さん。今後の活動にも注目したい。

agrizm No.8 秦栗園さん

11年前に大阪から福知山市夜久野町へと移住し、秦栗園を経営している秦貴一郎さん。当初は果樹園をしようと京丹波町で土地を探していたところ、知り合いに誘われ夜久野町で栗園を始めることになった。

何もない所から始めた栗園には、現在1ヘクタールに8種類275本の栗の木が植えられている。これまで全ての木が順調に大きくなってきた訳ではなく、中には枯れてしまう木もあったが、その度に工夫しながら育ててきた。その一つが草生栽培で除草剤は使わない方法。草を生かすことで土が保湿され、微生物や虫などが棲み、豊かな土壌が作られていく。化学肥料に頼らずとも、自然に近い環境で病気に負けない強い栗が育つのだという。また、栗園を始めた頃から農薬を使用せず、収穫時の燻蒸処理や温湯処理も行っていない。虫が針程の小さな穴を開け卵を産み付けるのだが、その穴を見落とさないよう一つ一つ丁寧に選別している。更にその後、マイナス1℃で1ヶ月間氷蔵熟成することで糖度が増し、甘さが三倍にもなる。

そんな安全で安心して食べられる美味しい栗を提供するため、こだわり作られている秦さんの丹波くりは、京都府丹波くり品評会で知事賞受賞や福知山の「エエもん」に認定されるなど高い評価を受けている。

都会から田舎に移住し、新規就農した秦さんは、自然と向き合い、工夫を重ね、試行錯誤しながら美味しい丹波くりを育てている。

「農園はまだまだ完成していない。やることがいっぱいで忙しい!」と楽しそうに語ってくれた。

agrizm No.7 のら×たん ゆらジェンヌさん

のら×たん ゆらジェンヌのメンバーは、福知山・綾部・舞鶴で農業に従事する27名。代々農家で継いだ方・農家に嫁いだ方、食に携わる仕事から食への安全性に興味を持ち農家に転身した方など様々。中には、2年後の就農を目指し研修中の方や普及指導センターの職員の方など農家だけなく多様性に富んでいる。

今回は、以前アグリズムでご紹介した小林ふぁ〜むの小林加奈子さんや京都丹波赤堀農場の赤堀みゆきさんなど年代は20代から50代の10名に集まっていただいた。

話し始めてすぐに感じた印象は『明るっ!』。それはまるで女子会のようで、真面目な話し合いだけでなく、雑談したり、赤ちゃんが泣き出すと、みんな笑顔になり優しく見守る、そんな女性ならではの、ほんわかとした温かいメンバーたち。

のら×たん ゆらジェンヌが発足したのは今年3月。新型コロナウイルスが流行し、第1回の集まりは6月だった。「コロナ禍で、みんなで集まりイベントをする事が難しくなっているが、そんな時はグループLINEでコミュニケーションを取り、今できる活動や今後どう動いて行くかなどいろんな意見を出し合っています。」と情報交換もしている。グループができた事で「躓いた時もいろんな知恵をもらえる事で安心感がある」「農業以外の相談もできるので心の支えになっている」と気持ちの変化も語ってくれた。

今後の目標は?の投げかけには「メンバーと商品開発」「都会に中丹の野菜をもっと売り込みたい」と意欲を滲ませている。

中丹地区では種類豊富な野菜を栽培しているが、都会へ出荷されている数は少ないという。今後は、ブランディングも含め販売なども勢力的に行う予定。「マルシェやイベントをどんどん開催」と、その言葉通り定期的にコーナンでの店頭販売も行っている。女性だと話しかけやすいと言った声もあり、親しみやすい雰囲気が好評。生産者と直接話せるのは消費者としても嬉しい。美味しい食べ方を熟知している生産者に聞くのが一番だ。

女性ならではの視点や発想は力強く、今後の活動にも注目したい。

agrizm No.6 京都丹波 赤堀農場さん

京都市から綾部市へ家族でIターン就農し、黒大豆枝豆・万願寺とうがらし・水稲の栽培をしている京都丹波 赤堀農場さんご夫婦。

今からの時期は黒大豆枝豆が収穫の最盛期を迎えていた。一般的な枝豆より粒が大きく、モチモチとした食感が特徴で、贈り物としても喜ばれる食材。また、万願寺とうがらしは、主に農協へ出荷し、中丹の代表となる野菜として全国でも販売されている。

自分達が食べたいと思える美味しくて安全な『うまいもん』を作るため、自家製堆肥を使用して栽培している。だから同じ作物でも甘さが違うのだ。また、この土地の粘土層が持つ捕肥力や朝晩の寒暖差が大きい事など、ここでしか作れないものを丁寧に育てている。

agrizm No.5 ほっこり農園さん

株式会社横田石材さんが、第二の事業として運営している『丹波ほっこり農園』は、三和町大身で三和ぶどうの栽培をしている。地域の過疎高齢化で耕作放棄されていた農地と今まで築き上げられてこられた栽培技術のノウハウを継承し、故郷の農地と豊かな自然を守りたいと6年前に誕生。

三和ぶどうは朝夕の寒暖差や地形に恵まれており美味しく育ち、例年8月中旬から収穫シーズンが始まる。

三和町大身の直売所、オンラインショップ、横田石材メモリアルガーデン福知山店などで購入や予約、発送依頼が可能で、贈答用としても人気だ。ぶどうの他に、丹波栗・新生姜・黒豆枝豆・かぼちゃなどの栽培や日本ミツバチの養蜂も行っている。日本ミツバチは日本に古くからいる野生の蜂で、習性上飼育は特に難しいと言われている。またその蜂蜜は、世に多く出回っている西洋ミツバチの蜂蜜とは違い、四季を通じ様々な花の蜜から集められブレンドされた百花蜜。採取量も少なく、飼育も難しいことから、なかなか出回らない貴重なもの。丹波ほっこり農園としては3年ぶりに採取し販売が可能となった。

三和町の里山で四季を感じ、澄んだ空気と美味しい水で作る農作物と共に、自然と人との関わり方を考えながら「農」を創造し、今ここにある故郷を守り続けているのだ。

agrizm No.4 田舎家そらしどさん

親子三世代でお米や野菜などを栽培し、加工・出荷まで行っている田舎家そらしどさん。お米は農薬不使用にこだわり、手で行う作業もあるため、たくさんは作れない。例えば、除草はチェーンを引いての作業で手間がかかり、もちろん直接口にする稲穂にも農薬は使わない。「無農薬」や「有機栽培」という言葉は有機JASの認定を受けた農家でないと使用できない。しかし、検査を受けるには多くの費用がかかり価格に反映させるとなると高額になってしまう。認定を受けずとも安全なお米を作る努力は惜しまず、手間暇をかけ育てている。長年続く農家だからこその厳しい目で栽培している。

また、豊かな自然の中で育った野菜や果物を使いジャムとして加工している。「農薬を使わない事で、時には虫や動物に作物を食べられてしまうことがあるが、『ほんの少しのお裾分け』と思い、その関わりも楽しんでる」と麻依さんが話してくれた。生き物は正直、消費者も安心していただけるのだ。

管理栄養士の資格を持つ麻衣さんは、祖父母の暮らす築100年の古民家を残したいという思いで孫ターンし、ここで商品開発などにも取り組んでいる。また、地元の特産品、万願寺とうがらしを使った「じぇのべーぜ」や「ぺぺろんちーの」は、パスタに絡めたり、パンやクラッカーにのせるだけで美味しくいただける商品だ。アレンジ次第でいろんな料理に使える万能調味料として人気となっている。

安全で安心して口にできる美味しいお米や野菜が体をつくり、心の栄養を届けている。

agrizm No.3 86farmさん

心と体を作る「食」は、生きていく上で必要不可欠なもの。消費者が健康で幸せな毎日を送れるようにと、安心安全な食べ物を届けている86farmの岩切さんご夫婦。

お二人の出会いは地球一周の船旅ピースボート86回クルーズで、86ファームの名前の由来にもなっている。奥様は管理栄養士・調理師として多くの経験を積み、生産者の顔が見える材料や自家栽培野菜などのこだわりの材料を使った化学合成添加物不使用のパンを作り、イベントやオンラインショップなどで販売している。 栽培工程が見える農園 、86ファームでは、個性豊かな在来種・固定種の種を選び、京野菜・丹波野菜を主に年間150種類以上の野菜を栽培。

販売は、イベント出店も多く、消費者との繋がりを大切に、不定期で収穫体験なども開催している。また、スーパーではあまり見かけないようなカラフルな根菜類など、目でも楽しめる野菜も多く、農薬・肥料不使用で、安心安全な野菜を育てている。だから皮をむかずに食べられるので栄養を余す事なくいただけるのだ。野菜を味わうにはシンプルな料理が一番!オススメはオリーブオイルで炒め、味付けは塩のみで十分。

幸せに食べることは、幸せに生きることへと繋がるのだと教えていただいた。